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大阪高等裁判所 平成12年(行ス)8号 決定 2000年6月21日

抗告人(<1>ないし<3>事件原告)

巫阿渕

右代理人弁護士

豊島時夫

相手方(<1>ないし<3>事件被告)

尼崎税務署長 大谷久仁雄

相手方(<2>事件被告)

右代表者法務大臣

臼井日出男

右両名指定代理人

佐野年英

主文

一  本件抗告を却下する。

二  抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

第一抗告の趣旨及び理由

別紙即時抗告申立書(写し)のとおり。

その要旨は「原決定は、同決定別紙記載の文書について証拠調べの必要があるとは認められないとの理由から文書提出命令の申立を却下した。しかし、同文書は抗告人の立証活動に必要不可欠な文書であるので、同文書の内容を確認せず、文書提出命令の申立を却下した原決定は違法であるから、原決定は取り消されなければならない。」というのである。

第二当裁判所の判断

一  原決定は抗告人の文書提出命令の申立を証拠調べの必要性がないものと判断して却下している。

二  これに対し、抗告人は前記のとおり、証拠調の必要性があるとして本件抗告に及んでいる。

三  しかし、証拠調の必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立を却下する決定に対しては、右必要性があることを理由として独立に不服の申立をすることは許されない(最高裁平成一二年三月一〇日決定)。

四  そうすると、本件抗告は不適当なものといわざるを得ない。

よって、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 井筒宏成 裁判官 古川正孝 裁判官 和田真)

平成一一年(行ク)第九号 平成一一年(行ク)第二一号〔本案・平成七年(行ウ)第四〇号 所得税更正処分取消請求事件(第一事件)、平成七年(行ウ)第四二号 過誤納付金還付等請求事件(第二事件)、平成九年(行ウ)第二号更正処分取消請求事件(第三事件)〕

即時抗告申立書

抗告人(原告) 巫阿渕

右訴訟代理人弁護士 豊島時夫

相手方(第一ないし第三事件被告)

尼崎税務署長

大谷久仁雄

相手方(第二事件被告) 国

右代表者法務大臣 臼井日出男

平成一二年四月三日

右抗告人代理人弁護士 豊島時夫

電話 〇六―六三六五―五六八一

大阪高等裁判所 御中

右当事者間の神戸地方裁判所係属の頭書事件について、同裁判所第二民事部が、抗告人の文書提出命令の申立て(別紙一及び二)に対し、平成一二年三月三〇日付けをもってなした右申立をいずれも却下する旨の決定中別紙二の申立に関する部分は不服であるから即時抗告を申立てる。

原決定の表示

事件番号

平成一一年(行ク)第九号、平成一一年(行ク)第二一号〔本案・平成七年(行ウ)第四〇号 所得税更正処分取消請求事件(第一事件)、平成七年(行ウ)第四二号 過誤納付金還付等請求事件(第二事件)、平成九年(行ウ)第二号更正処分取消請求事件(第三事件)

主文

本件申立てをいずれも却下する。

即時抗告の趣旨

一 原決定を取消す

二 大阪地方検察庁は巫阿渕に関する大阪地方裁判所平成二年(わ)第三六二三号所得税法違反被告事件に関し、平成二年二月六日幸田由起子方において大阪国税局査察官が作成した現金預金有価証券等現在高検査てん末書を提出せよ。

との裁判を求める。

即時抗告の理由

一1 原決定も平成二年二月六日幸田由紀子(以下「幸田」あるいは「由起子」ともいう)方において大阪国税局査察官が作成した現金預金有価証券等現在高検査てん末書(以下「本件文書」という)が、標記本案訴訟において被告らから証拠として提出されている乙一五号証(別添証拠1)と同様文書であると解している。

2 被告らも右本案訴訟において、抗告人が原決定別紙一の申立をした際、本件文書は大阪国税局から大阪地方検察庁に送致したので、本件文書は同検察庁が所持しており、大阪国税局は本件文書を所持していない旨述べた。

3 よって抗告人は原決定別紙一の申立ては本件文書の所持人を誤っていたことが分っているので、右別紙一の申立についての決定については異議を述べない。

二1 原決定(別紙二について)の理由の大要

ところで、原決定は、別紙二の申立についても、「幸田方に預金通帳、有価証券等が存在した事実が明らかになるとしても同事実をもって原告が証明すべき事実として挙げる株式等売買損益を原告と幸田が折半する約束をしていた事実及び重加算税賦課処分が違法である事実を立証することにはならない」との前提判断のもとに、「したがって本件文書は証拠調べの必要があると認められない」との理由で別紙二の申立も却下した。

2 原決定の違法

(一) 原決定は本件文書を見ていないのに、原告主張事実を立証することにならないと断じていることは、不当な予断に基づいて裁判をしたものであり、かつ、原告の立証を妨げるものであって、その違法は重大である。

(二)(1) 本案訴訟のうち重要な争点の1つが、原告及び幸田並びに原告の友人中山名義で取引された株式等売買利益を原告とその一人娘幸田が折半することを約束していたか否か、家族ら名義の配当は家族らのものであるか否か、である。

原告は別添証拠2とする平成一一年七月一日付け原告準備書面において、右利益折半の約束の経緯、理由、株式取引における幸田の関与等及び配当の取得者が誰であるかについてその大要を主張し、これに反論した被告に対し、別添証拠3とする同一二年一月二〇日付け原告準備書面第二、六(二三頁以下)記載のとおり再反論し、更に別添証拠4とする同年二月二八日付け補充書により、抗告人の申立ての正当性につき主張を補充している。

要するに、原告と幸田は親子(しかも原告の子は幸田一人である)なので利益折半の約束をして、幸田が株式等取引資金を提供し、取引実務のほとんどは原告が担当したのであり、その株式の一部は家族らのものとして配当を取っていたというのが原告の主張の骨子である。

(2) 右原告の主張を裏付けるためには、これに反する査察官の不実の質問てん末書があり本案訴訟において被告らから証拠として提出されているから、原告としてはこれをあらゆる角度から検討して、書証、人証等を収集する必要があることはいうまでもない。

そのためにも本件文書は査察着手当日幸田の自宅にあった現金等を記載しているから、原告としては、当日幸田の自宅にどのようなものがあったかを知ることによって信用性の高い原告の裏付資料としたいのである。

なお、別添証拠2の一〇行目から末行までに記載している主張や同証拠3の五二頁の一〇行目ないし一三行目までに記載している主張についての裏付け証拠が必要であるが、原告は本件文書を証拠としてその立証の一端が客観的に出来ると考えている。

また、重加算税中配当所得にかかるものは、被告は原告が家族等の名義を不当に利用する仮装隠ぺいによる配当所得の過少申告があったとして賦課決定をしているが、これも誤解であることを立証する必要があり、そのためにも本件文書の記載内容が右誤解を解く有力な証拠となり得るものと考えている。

(三) 以上のとおりであるから、本件文書の重要性に気付かず、これを見ることもなく証拠調べの必要がない旨の判示が違法であることは云うまでもない。

三 よって原決定を取消し、即時抗告の趣旨記載の決定を求めるため本抗告に及んだ次第である。

以上

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